高校におけるictを活用した英語科のアクティブラーニングの事例(リーディング)

Pocket

英語を正しく読んで正しく書けるというのは大切なことです。特別支援とも連携する必要はありますが、アクティブラーニングでは全学習者に学びを提供することが主眼とされています。今回の記事では、高校におけるictを活用した英語科のアクティブラーニングの事例として、リーディングの授業について取り上げたいと思います。従来の授業にictとアクティブラーニングの要素を取り入れることによって、どのように授業は変わるのでしょうか?
英文1-300x198

記号付け

用意するのは、タブレットPCです。全学習者に用意するのが困難ならば、グループごとに用意するといいでしょう。タブレットPCには教科書本文のデータを入れておきます。教師用の教科書についてあるデータを利用すれば、教師が打ち込む時間と労力を縮減できます。グループごとに、学習者は本文に「記号付け」をしていきます。主語には下線を引き、動詞には〇をつけます。そして、その他の要素(目的語など)にも下線などを引きます。タブレットPCに直接書き込めるとなお良いです。まずは、学習者1人1人に考えさせ、グループで共有し、タブレットPCに書き込んでいくと良いでしょう。そして、下線→下線→〇の順に訳していきます。適宜、辞書をうまく引かせることも重要です。グループに1冊だけ辞書を用意しておくと、学習者の協同性も促せます。この活動は、習熟度が低い学習者には特に適していると言われていますので、よろしければ試してみてください。記号付けは、慣れてきたら、単にスラッシュを引いて、フレーズごとに訳させる段階を目指します。最終的なゴールは記号を付けずに、英語を読めるようになることです。
英文3-300x198

本文の訳の発表会

記号付けが終わったら、グループごとに教卓に立ち、自分たちが作り上げた記号付けと訳について発表させます。タブレットPCを大型ディスプレイにつなぐと、従来のような教師が黒板に本文を板書する時間と労力が節約できます。この活動において、グループの数だけ訳が変わってくると思います。教師はあくまでファシリテーターとしての役割に従事し、「訳の解答」を与えるのではなく、さらに良い訳を作るにはどうすれば良いかを学習者に考えさせます。ここでも重要なのは、「学習者に気づかせる」ということです。日本語訳を単なる学習の跡としてだけとらえるのではなく、学習者の「作品」ととらえる転換が必要とされます。文法訳読式あるいは翻訳というのは、日本の英語教育では敵視されていますが、実際に日本の長い英語学習の歴史において、重要な役割を果たしてきたのは事実です。そもそも「文法+訳読」と「翻訳」は異なる概念であり、これらに対する十分な考察がなされずに、単純否定されているのが現状です。アクティブラーニングの形式をとるとしても、新しいものばかりに目をやり、本当に「学習者に力をつける」ために必要な要素を全て取り除くのは赤ん坊を産湯と共に捨て去ることになりかねません。アクティブラーニングと従来の教育の接合が、今後のアクティブラーニング研究の課題ではないでしょうか?