中学校における英語科のアクティブラーニングの事例(トライアングル・ディスカッション)

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アクティブラーニングでは、「勝ち-負け」という構図はそれほど重要ではありません。いかに他者と協力して、1つのゴールを一緒に分かち合うかという精神的なつながりが重視されています。今回の記事では、中学校における英語科アクティブラーニングの事例として、「トライアングル・ディスカッション」について取り上げたいと思います。トライアングル・ディスカッションの全容をこの記事でお伝えすることは難しいので、興味を持たれた方は『ヒューマンな英語授業がしたい!-かかわる、つながるコミュニケーション活動をデザインする』をご参照ください。
トライアングル

トライアングル・ディスカッション

まず、教室の真ん中に3つの椅子を三角形の形で置きます。他の学習者の椅子はそれを囲むように、劇場式に設置します。真ん中に3人の学習者が座り、英語で会話をつなげ行きます。このとき、会話が途切れないこと、3人の学習者が平等の量を話すこと、3人の学習者が協力し合って、協調的なコミュニケーションを成立させることが大切です。練習段階として、4人の学習者のグループを組ませ、3人がトライアングル・ディスカッションの練習をし、もう1人の学習者がアドバイザーとして、会話のファシリテーターとして機能する活動を設けます。しっかりと準備練習ができたら、実際に教室の真ん中でトライアングル・ディスカッションを実施します。
ディスカッション

協調をベースとするディスカッションと勝負をベースとするディベート

この活動がアクティブラーニングの要素を豊富に取り込んだ「協調的な活動」であることはお分かりいただけたかと思います。さて、ディスカッションディベートはよく混合されるのですが、ここでまとめたいと思います。ディベート(議論)とは、2者が異なる立場に立ち、お互いの立論によって、相手の主張を崩すことが主眼とされているコミュニケーションです。一方、ディスカッション(対話)とは、お互いが「分かり合えない」という前提に立ち、協調的に、建設的なコミュニケーションを目指すものです。アクティブラーニングとどちらが相性が良いかはもうお判りでしょう。ディベートでは、「勝負」が前提とされており、「勝ち-負け」ができることが当然視されています。一方、ディスカッションでは、「協調」が前提とされており、「より深い対話」を目指すことが当然視されています。前者はコミュニケーションを「合意」を前提としており、校舎はコミュニケーション「不確実性」を前提としているという違いもあります。英語教育や他の教科教育では、ディベートはやたら好まれるのですが、このような質の高いディスカッションはあまり重視されていないようです。コミュニケーションは「勝ち-負け」ではありません。テクニックでもありません。良質な人間関係を築くための大切な営みす。それを忘れて、「勝ち-負け」だけにこだわると、学習者の人格にもかかわってきます。アクティブラーニングの「協同学習」や「学び合い」の精神は、これからますます重要視されてよいのではないでしょうか?